午前11時の楓温泉郷

ハロヲタのための24のガヴォット第11番変ホ短調 副神経午前11時

銀イオンの反応

銀イオンは他の金属イオンと異なる反応をする場合がいくつかあります。


(1)水酸化物イオンとの反応
たいていの金属イオンが水酸化物を沈殿するのに対し
銀イオンだけは褐色の 酸化銀 が沈殿します。
(たぶん水酸化銀が不安定なのでしょう)
水酸化ナトリウム水溶液を加えたときはこの沈殿が溶けないのですが
アンモニア水を加えたときは過剰に加えると溶けて透明な溶液になります。
このとき溶液中に生成しているのは ジアンミン銀イオン です。


(2)塩化物イオンとの反応
銀イオンのいちばん特徴的な反応がこれ
塩化物イオンと反応して塩化銀の白色沈殿が生じます。
銀の可溶性塩としては硝酸銀くらいしかないので
(銀は硝酸には溶けるが塩酸や硫酸には溶けない)
硝酸銀に塩酸か塩化ナトリウムを加えると塩化銀の白沈ができるわけです。
この沈殿は湯に溶けずアンモニア水に溶けます
塩化物イオンに対して白沈を生ずるのはほかに
塩化鉛と塩化第一水銀*1がありますが
塩化鉛は湯に溶け、塩化第一水銀は湯にもアンモニア水にも溶けないので区別できます。

銀イオンは臭化物イオンやヨウ化物イオンに対しても
それぞれ臭化銀(淡黄色)やヨウ化銀(黄色)を沈殿します。


(3)硫化物イオンとの反応
他の重金属イオンと同様に酸性条件でも 硫化銀(黒色)を沈殿します。
定性分析においては先に塩化銀として落としているので勘違いしやすいのですが
硫化銀の溶解度積はものすごく小さいんです



(4)クロム酸イオンとの反応
赤褐色のクロム酸銀が沈殿します。
二クロム酸イオンに対してもクロム酸銀の溶解度積が小さいので
平衡が移動してクロム酸銀が沈殿します。


(5)炭酸水素イオンとの反応
教科書にはのっていませんが沈殿ができますね
炭酸銀 酸化銀 水酸化銀 のいずれかもしくは混合物でしょうか
条件によってできるものが違うかもしれません

*1:ローマ数字が使えないので旧名称を使用しています